2019 年 80 巻 4 号 p. 766-772
73歳,男性.肛門腫瘍からの出血を主訴に近医へ救急搬送された.肛門に小児頭大腫瘍を認め,病理検査から中分化腺癌と診断された.大腸内視鏡検査でS状結腸癌を認め,肛門腫瘍と同じ中分化腺癌の像を呈しており,精査加療目的に当院へ紹介された.造影CT検査で傍大動脈リンパ節腫大を複数認め,PET-CT検査で同部への集積を認めた.肛門腫瘍とS状結腸癌が同じ組織像を呈したことから,S状結腸癌の同時性肛門転移と診断した.傍大動脈リンパ節転移を認めるものの,肛門腫瘍の出血,疼痛緩和のため姑息的に切除する方針とし,腹会陰式直腸切断術,皮弁形成術を施行した.病理診断はS,type2,tub2,pT3(SS),int,INFb,ly3,v1,pN3,cM1b(LYM,OTH)であった.化学療法を継続し,術後1年で無増悪生存中である.同時性肛門転移を契機に診断されたS状結腸癌を経験したので文献的な考察を加え,報告する.