日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭十二指腸切除後に繰り返した過粘稠性Klebsiella肝膿瘍の1例
宇都宮 健坂元 克考松井 貴司高井 昭洋小川 晃平高田 泰次
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2019 年 80 巻 4 号 p. 779-785

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抄録

過粘稠性Klebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍は転移感染症として,重篤な経過を辿ることがある.膵頭十二指腸切除術後に繰り返した過粘稠性Klebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍の1例を経験したので報告する.

症例は76歳,女性.膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術を施行した.合併症なく,術後25日目に退院したが,退院後2週間目に発熱を主訴に近医を受診し,肝膿瘍と診断され,当院へ転院した.腹部CTで肝S3に径7cmの肝膿瘍を認め,経皮的ドレナージと抗菌薬治療を開始した.肝膿瘍の診断から26日目に退院したが,退院日から16日目に再度発熱を認めた.腹部CTでS8に径4cmの肝膿瘍を認め,ドレナージと抗菌薬治療を行い,再々入院25日目に退院した.退院後,長期抗菌薬投与を行い,再燃は認めていない.いずれも膿汁培養から過粘稠性Klebsiella pneumoniaeが検出された.

過粘稠性Klebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍の治療には抗菌薬の長期投与が重要と考えられた.

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