日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹膜炎で発症し保存的に救命した劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症の1例
岩下 幸平小林 敦夫高田 厚河原 正樹
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2019 年 80 巻 4 号 p. 798-803

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抄録

症例は39歳,女性.前日からの腹痛と発熱,水溶性下痢を主訴に来院.著明な腹膜刺激症状と炎症反応異常高値を認め,急性汎発性腹膜炎と診断した.画像検査では,消化管穿孔や腸管虚血などの所見は認めず,上記症状の原因として原発性腹膜炎を疑った.厳密な循環・呼吸管理,広域抗菌薬,カテコラミン,持続的血液濾過透析(以下CHDF)とエンドトキシン吸着療法(以下PMX-DHP)を併用した集中治療を開始した.第4病日の血液培養にてA群溶連菌が検出され,劇症型溶連菌感染症による原発性腹膜炎と診断した.外科的治療の必要性を考慮しつつ厳重な観察下に上記治療を行ったが,その後全身状態は徐々に改善し,第23病日に退院となった.劇症型溶連菌感染症による原発性腹膜炎は稀な疾患であるが,大半の症例において開腹洗浄ドレナージなど外科的治療が施行されており,保存的治療による救命例の報告はない.若干の文献的考察を交えて報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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