日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝外胆管原発混合型腺神経内分泌癌の1例
長尾 拓哉湯浅 典博竹内 英司三宅 秀夫宮田 完志伊藤 藍
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2019 年 80 巻 4 号 p. 791-797

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抄録

症例は74歳の女性で,心窩部痛を主訴に当院を受診した.血液検査にてビリルビン,肝胆道系酵素,CEA,CA19-9の上昇を認めた.腹部造影CTでは,造影効果を伴う壁肥厚を下部胆管に認め,上部胆管の拡張を認めた.ERCPにて下部胆管の不整狭窄を認め,生検で腺癌と診断された.遠位胆管癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的に腫瘍は腺癌と神経内分泌癌の成分が混在し,いずれも腫瘍の30%以上を占めたことから,混合型腺神経内分泌癌と診断された.術後補助化学療法としてCDDP+CPT-11計4コースを施行したが,術後19カ月で腹膜播種再発を認め,現在,化学療法を施行している.肝外胆管原発混合型腺神経内分泌癌の本邦報告は10例で,肝再発が多く,予後不良である.本疾患では個々の症例の臨床病理学的特徴を考慮したうえで治療にあたる必要がある.

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