2019 年 80 巻 6 号 p. 1158-1161
症例は4年前に当院にて大腸内視鏡検査を行い100個以上のポリープを指摘され,遺伝子検査の結果APC遺伝子にnon-sense変異を認め,非密生型のfamilial adenomatous polyposis(FAP)と診断された.手術を拒否したため,1年に1回の定期的な内視鏡によるポリープ摘除で経過観察されていた.その後,2日前からの持続する右下腹部痛があり当院を受診した.血液検査と腹部CT検査から,虫垂炎が疑われ同日緊急手術の方針となった.虫垂癌も否定できなかったため開腹による虫垂切除術施行し,術中迅速病理にて虫垂粘液癌の診断となったためリンパ節郭清を伴う回盲部切除を追加した.われわれはFAPの経過観察中に虫垂癌を初発で発症した稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.