日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
80歳以上の鼠径部ヘルニアの特徴と治療方針
田中 穣奥田 善大河埜 道夫近藤 昭信長沼 達史中島 紳太郞
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2019 年 80 巻 7 号 p. 1279-1283

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抄録

高齢者鼠径部ヘルニアの特徴と治療方針に関して検討した.[方法]鼠径部ヘルニア873例を80歳以上の高齢群167例と80歳未満の非高齢群706例に分け,さらに高齢群のうち腸切除3例を除く164例を腹腔鏡手術(以下,TAPP)88例と鼠径部切開法76例に分け,臨床的特徴と手術成績を比較検討した.[結果]高齢群ではASA-PS分類のASA IIIが42%,嵌頓例が13%と高リスク例や嵌頓例が多かった.高齢群のTAPPでは鎮痛剤投与回数は0.4±0.7回,術後在院日数は3.0±2.3日と鼠径部切開法の1.4±1.2回と4.1±4.1日に比し低値であった.また,高齢者におけるTAPPの適応をASA III以下として経年的に手術適応を拡大したところ,重篤な合併症はなく安全に施行可能であった.[結語]高齢者鼠径部ヘルニアにおいて,ASA III以下で全身麻酔が可能であればTAPPは有用な選択肢である.

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