2019 年 80 巻 7 号 p. 1335-1340
症例は68歳,男性.外傷精査時のCT検査にて,肛門縁から3cmの下部直腸に約5cmの腫瘤を指摘された.下部内視鏡検査,FDG-PET,MRIにて遠隔転移を伴わない直腸粘膜下腫瘍と診断.組織診断には至らなかったが,術前検査から直腸消化管間葉系腫瘍(gastro-intestinal stromal tumor:GIST)が疑われた.腫瘍は壁外突出が強く,肛門挙筋に広く近接していた.同症例に対し,ロボット支援下括約筋間直腸切除を施行.ロボット手術の特徴である多関節機能を駆使することで,被膜損傷なく安全に肛門温存手術を施行できた.術後経過は問題なかった.病理組織診断でc-kit陽性GISTと確定したため,ガイドラインに則りイマチニブによる補助治療を開始している.狭骨盤・男性症例での下部直腸GISTに対しても,ロボット手術により肛門機能を温存し,腫瘍学的にも安全な根治切除が可能であると考える.