2019 年 80 巻 7 号 p. 1347-1351
症例は57歳,男性.検診を契機に直腸S状部の15mm大0'-II a+II c病変を指摘され,下部消化管内視鏡検査所見でSM浸潤癌が疑われた.術前CT検査で遠隔転移やリンパ節転移を認めなかったが,上腸間膜動脈を2本(以下,1st SMA,2nd SMA)認めた.1st SMAは通常の高さから起始していたが,2nd SMAは下腸間膜動脈から分岐し,一旦上行した後に中結腸動脈,回結腸動脈を順に分岐しながら反時計回りに弓状に走行していた.1st SMAが空腸,2nd SMAが回腸と右側結腸を栄養しているものと考えられた.自験例ではさらに180°の不完全型腸回転異常を合併していた.手術は腹腔鏡補助下前方切除術を施行.術中所見でもリンパ節転移を認めなかったことから,血流温存を優先し,左結腸動脈を温存したD2リンパ節郭清を行った.上腸間膜動脈の重複は非常に珍しいことから,文献的考察を含めてここに報告した.