日本臨床外科学会雑誌
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症例
卵巣移動術後17年を経て発症し腹腔鏡下に摘出した卵巣嚢腫の1例
橋之口 朝仁定永 倫明本坊 拓也吉田 倫太郎坂井 邦裕松浦 弘
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2019 年 80 巻 8 号 p. 1538-1541

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抄録

症例は54歳,女性. 21年前に子宮頸癌 (Stage I B)に対して腹式単純子宮全摘術,術後放射線療法を受けた.増大傾向にある左側腹部に存在する腫瘍の精査加療目的で当院外科へ紹介となった.MRIでは左腎外側に径11cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.外来受診時,「子宮頸癌手術時に卵巣を温存し吊り上げている」とのことであり,婦人科へコンサルトした.子宮頸癌の術後放射線療法に際して,卵巣機能温存目的に被曝を避けるため卵巣を照射野外に移動固定する術式が選択された可能性が考えられた.卵巣移動術後の左卵巣嚢腫を疑い,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査で卵巣粘液性嚢胞腺腫 (良性)と診断した.術後は順調に経過し,術後7日目に自宅退院となった.

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© 2019 日本臨床外科学会
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