日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
右肝動脈塞栓後に手術を施行した右肝動脈分岐破格を伴う膵癌の1例
加藤 宏周伊藤 康博岸田 憲弘戸倉 英之清水 和彦高橋 孝行
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 80 巻 8 号 p. 1531-1537

詳細
抄録

症例は71歳,女性.全身倦怠感を主訴に,近医で黄疸と肝機能障害を指摘され当院を紹介受診.腹部造影CT検査でgroove領域に十二指腸浸潤を伴う径30mm程度の造影効果に乏しい腫瘤が指摘され,膵頭部癌と診断された.右肝動脈が胃十二指腸動脈より分岐する走行変位を示し,さらに膵頭部腫瘤内を走行し狭窄を認め,浸潤が疑われた.血管造影を行い,肝内に左右肝動脈間の交通血管が発達していたため右肝動脈狭窄部を塞栓した.塞栓術後も肝機能悪化は認めず,6日後に右肝動脈合併切除非再建を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.肝動脈走行異常を伴う膵頭部領域癌に対しては,根治性や安全性の観点から術前の血管走行の詳細な把握とそれに応じた術式検討が重要である.本症例は右肝動脈が胃十二指腸動脈から分岐する分岐破格を認めたが,術前右肝動脈塞栓術を行うことで安全に手術を施行できた1例を経験したため,若干の文献学的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2019 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top