2019 年 80 巻 9 号 p. 1611-1616
症例は71歳,男性.上腹部痛のため救急搬送された.来院時,臍部を中心に圧痛を認めた.造影CT検査では膵周囲から後腹膜に広がる低吸収域を認めた.急性膵炎,十二指腸穿通,後腹膜腫瘍などを疑い入院したが,数時間後にショックバイタルとなった.造影CT検査を再度施行すると,低吸収域の拡大と膵頭下部領域に造影剤のpoolingを認めた.下膵十二指腸動脈瘤破裂を疑い,緊急腹部血管造影検査を施行した.下膵十二指腸動脈に10mm大の動脈瘤を認め,金属コイルによるTAEを施行した.TAE施行後,血腫による十二指腸の圧迫,狭窄症状が出現したが,絶食,経鼻胃管留置による保存的治療にて改善し,術後52日目に退院となった.術後再発所見なく経過中である.