2019 年 80 巻 9 号 p. 1682-1686
症例は66歳,男性.腹部膨満と血便を自覚し前医を受診し,CTにて回盲部付近に著明な壁肥厚を伴う腫瘤像を指摘された.下部消化管内視鏡を行ったところ回腸末端部に全周性の腫瘍を認め,同部位からの生検でBurkittリンパ腫Stage II2(Lugano病期分類)と診断され,当院血液内科に紹介となった.R-EPOCH療法が導入されたが,4コース終了後にイレウスを発症しイレウスチューブにより減圧処置が行われた.一時的にイレウスは改善したが急激な右下腹部痛が出現し,CTにて腹水と回盲部周囲のfree airを認め,穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術となった.術後43日目に化学療法を再開し,治療効果判定はCRとなり現在も経過観察中である.
消化管悪性リンパ腫は化学療法中に消化管穿孔を発症するなど緊急手術が必要になる症例報告が散見され,内科・外科が情報共有しつつ治療に当たることが必要と思われる.