日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
吸引式乳腺組織生検により消失したと考えられる乳癌の1例
芝木 泰一郎池上 淳赤羽 弘充山田 健司稲垣 光裕佐藤 啓介
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 81 巻 1 号 p. 41-47

詳細
抄録

48歳の女性が右乳腺微小石灰化精査目的に受診.その後所見に変化があり,超音波検査で右A領域に12.7×6.4mmの不整低エコー域が認められ,吸引式乳腺組織生検を施行した結果,乳管内進展を伴う浸潤性乳管癌だった.Stage I乳癌と診断しBp+SNを施行.標本中には6×5 mm大の結節病変が認められ,泡沫細胞やリンパ球の浸潤,線維芽細胞を伴う線維増生などの炎症の組織像が認められるのみで乳癌細胞は認められず,癌遺残なしの診断.生検組織と切除組織の比較では,前者でCD8陽性Tリンパ球の浸潤が見られ,後者で細胞質にER陽性顆粒を有するマクロファージが見られた.治療前生検で消失したとされる癌を『生検消失癌』と呼ぶが乳癌では報告が無い.本症例では生検時既に腫瘍に対する免疫反応が起きており,生検による腫瘍組織の破壊がさらに免疫反応を惹起し,それによる急性炎症が腫瘍消失に寄与した可能性が考えられた.

著者関連情報
© 2020 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top