2020 年 81 巻 2 号 p. 301-306
症例は64歳,男性.肝S7領域にある1.5cm大の増大傾向な腫瘤の精査加療目的で当科へ紹介となった.超音波検査および造影CTでは,異型結節や早期肝細胞癌などの鑑別以上の確定診断が困難だった.Gd-EOB-DTPA造影MRIでは早期濃染は無いものの,肝細胞相で造影剤の取り込み低下があり,chemical phase shiftでは位相による信号変化はなかった.いずれにしても悪性腫瘍が否定できないため,肝後区域切除術を施行した.病理組織学的検査所見で被膜形成のない境界不明瞭な結節であり,ミクロ像では細胞異型が無く,密度が高く類洞が若干拡張した柵状構造が見られ,軽度異型結節と診断した.異型結節を生ずる背景肝はアルコール性変化があることが多く,非常に診断が難しいがchemical phase shiftなど脂肪含有評価が有用である可能性がある.その上で腫瘍径や臨床経過,複数の画像モダリティを使用して総合的に判断することが必要である.