抄録
再学習なしにテストを繰り返した時に記憶成績が向上する記憶高進現象と、一部の学習項目を繰り返し検索することにより関連する項目の記憶成績が低下する検索誘導性忘却現象とは検索過程の繰り返しを含む点で共通している。そこで、林・村上・高井・関根(2010)は、大学生を対象に実験を行い、両現象の同時生起の可能性を検討した。その結果、記憶高進の生起は確認されたが、検索誘導性忘却は生起しなかった。林他(2010)では、通常の検索誘導性忘却におけるRp+群、Rp-群、Nrp群などのほかに、同一カテゴリの全項目を毎回検索させるHyp群を設けていた。これは検索誘導性忘却において標準的な手続きではない。そこで本研究では、Hyp群を設けずに実験を行った。その結果、林他(2010)同様、記憶高進の生起は確認されたが、検索誘導性忘却は生起せず、両現象は同時には生起しない可能性の高いことが示された。