2020 年 81 巻 4 号 p. 646-651
乳腺原発の神経内分泌癌(腫瘍)は全乳癌の0.08-0.8%と報告されており,極めてまれである.嚢胞内腫瘍という形態で発生する本邦報告は自験例を含め4例であった.
今回,われわれは嚢胞内出血を契機に診断された,その1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
症例は81歳の女性.右乳房の腫瘤を主訴に外来を受診.右乳房AC領域に約50mmの弾性軟の可動性良好な腫瘤を触知した.MMGでは同部位に腫瘤を認め,カテゴリー4と判定した.US検査では,境界が明瞭平滑で内部に乳頭状の隆起状病変を伴う嚢胞性病変を認めた.出血を伴う嚢胞内腫瘍と診断した.
細胞診で悪性と診断された.単純乳房切断術を施行した.切除標本の肉眼所見は50×55mmの嚢胞で,内部に10×20mmの乳頭状の腫瘤を認めた.病理組織学検査でintracystic tumor,g,Grade1,非浸潤性高分化型内分泌腫瘍,ER(+),PgR(+),HER2(-)と診断された.術後経過は順調で,アロマターゼ阻害剤を内服し5年間無再発生存した.