日本臨床外科学会雑誌
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症例
妊娠28週の妊婦に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った胆石性膵炎の1例
吉崎 雄飛高林 直記菊池 亮佑小野田 貴信石原 行雄平松 毅幸
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2020 年 81 巻 8 号 p. 1597-1603

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抄録

症例は39歳,女性.持続する右季肋部痛,嘔気を主訴に受診した.胆石性膵炎の診断にて妊娠27週4日目に消化器内科に入院となった.保存的加療にて改善を認めたが,膵炎の再燃予防のため妊娠28週0日に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.トロッカー配置を工夫し,気腹圧は通常通りの気腹圧で行い,手術は問題なく終了した.術後一時的な血清アミラーゼ値上昇,薬剤性と思われる肝逸脱酵素上昇を認めるも,術後14日目に退院した.その後,妊娠35週4日目に帝王切開にて健児を出産した.妊婦に対する腹腔鏡下手術は視野の確保,トロッカー造設の位置など工夫を要すことが多い.妊娠後期で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した報告は本邦では少ないが,各種工夫を行うことで安全に手術を施行し得る可能性が示唆された.

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