日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術後14年目に肝転移および孤立性腹膜播種を切除した子宮体癌の1例
森本 大士林 正吾武藤 俊博吉田 滋仲田 和彦井上 総一郎
著者情報
キーワード: 子宮体癌, 肝転移, 腹膜播種
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 1 号 p. 194-200

詳細
抄録

症例は71歳,女性.術後14年経過後の子宮体癌,術後1年6カ月経過後の多発早期胃癌,術後1年経過後の肺癌の重複癌既往があり,外来経過観察中であった.CTにて胃癌の診断時より存在した腹膜結節の増大および新規の肝腫瘍が指摘され,治療方針相談目的に当科初診となった.MRIやFDG-PET検査などの画像検査が施行され,他病変は認められなかったが,腹膜結節と肝腫瘍が同一疾患か否か,転移性病変か否かなどの確定診断は困難であった.そのため,十分なインフォームドコンセントの後に診断的治療目的にて両病変ともに外科的切除を施行した.病理組織学的検査では両病変ともに子宮体癌の転移再発と診断された.術後10年以上経過後の子宮体癌の転移再発は非常にまれであり,既往症の術後経過年数にとらわれずに再発の可能性を念頭に置くべきと考えられ,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2021 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top