日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
乳児期に発症し61歳で手術した腸回転異常症の1例
牧野 晃大, 石原 行雄, 高林 直記
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 11 号 p. 2006-2012

詳細
抄録

症例は61歳,女性.乳児期より繰り返す腹痛と嘔吐の症状があり,急性腎不全に至り入院加療を受けることもあった.20代で腸回転異常症の指摘はされるも手術を受けるには至らず経過していた.しかし,近年になって腸閉塞症の診断で当院消化器内科にて入退院を繰り返すようになり,消化器外科へ紹介となった.上部消化管造影とCTの検査所見より,不完全回転型の腸回転異常症であった.待機的に腹腔鏡下手術を施行した.十二指腸空腸移行部の前面の索状組織を切離し,小腸の上腸間膜動脈を軸とした時計方向180度の捻転を解除した(Ladd手術).術後早期の一過性の腸閉塞症状をきたしたが,それ以降は症状の再燃なく約1年経過している.本邦の成人腸回転異常症の報告例を集計すると,不完全回転型は無回転型に比べて腸回転異常症について有症状の割合が有意に多く,結果としてLadd靱帯の切離と軸捻転の解除といったLadd手術が行われた割合も有意に高かった.

著者関連情報
© 2021 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top