2021 年 82 巻 12 号 p. 2176-2184
症例は62歳の男性で,進行胃癌sig,por,pT4a,pN1,M0,pStage IIIAに対し,幽門側胃切除術を施行後,補助化学療法として,CapeOX療法を6コース施行した.手術から9カ月後に,正中創の腹壁に2カ所の転移性腫瘤を認め,腹壁腫瘤切除とメッシュによる腹壁再建術を施行した.腹壁転移切除9カ月後に,右下腹壁に新たな転移性腫瘤が出現した.その3カ月後に,殿部筋肉の転移性腫瘤と全身の皮膚転移が出現した.Weekly paclitaxel療法を2コース施行するも,腫瘍は増大し,緩和治療に移行した.その後,各所の腫瘍の増大を認め,腹壁転移切除17カ月後に死亡した.胃癌の腹壁転移切除後,経過観察のみで9カ月間無再発であったが,その後,全身の軟部組織転移が出現し死亡した1例を報告する.胃癌術後の腹壁転移に対する治療方針決定,およびその後の経過を予測する上で,示唆に富む症例と思われる.