日本臨床外科学会雑誌
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症例
放射線脳壊死に対しbevacizumabが有効であった乳癌脳転移の1例
坂根 純奈小林 稔弘平松 昌子恒松 一郎サンフォード 舞子鈴木 悠介
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2021 年 82 巻 2 号 p. 367-372

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抄録

症例は44歳,女性.右季肋部痛の主訴に対し腹部USを施行,転移性肝腫瘍を認めた.CTで左乳房に4cmの腫瘤,肝S4/8と外側区域に腫瘤を認めた.針生検で浸潤性乳管癌(HER2タイプ)の診断で化学療法を開始した.2年後のMRIで左側頭葉・後頭葉,右小脳に脳転移を認め,定位放射線照射を施行した.化学療法をはさみ脳転移が再燃し,再度照射を行い化学療法を継続していたが,突然の構音障害,右半身麻痺が出現した.MRIで左側頭葉・後頭葉の放射線脳壊死と診断した.その治療としてbevacizumab療法を3コース施行し,脳浮腫,神経症状の改善を認めた.放射線治療の有害事象である放射線脳壊死はQOLやその後の治療に支障をきたす.放射線脳壊死に対しbevacizumabの有効性が報告されている.われわれの経験した症例でも症状改善に有効であったので報告する.

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