2021 年 82 巻 2 号 p. 456-459
症例は74歳の女性.食思不振と体重減少を主訴に,前医より当科へ紹介となった.腹部造影CTで膵頭部に19mm大の腫瘤を認め,門脈に接していた.膵頭部癌(cT3N0M0 cStage IIA)の診断で膵頭十二指腸切除術(pancreatoduodenectomy,以下PD),および門脈合併切除・再建術を施行した.術前の3D血管構築では右肝動脈が胃十二指腸動脈より分岐していたため,右肝動脈から中枢側に剥離し,胃十二指腸動脈との分岐を確認した.その分岐からさらに胃十二指腸動脈を膵に向かって剥離した.クランプテストを行い超音波で肝血流を確認後に,胃十二指腸動脈を右肝動脈の分岐より末梢側で結紮切離した.自験例でみられた青木らの分類のtypeDに相当する走行異常の頻度は0.28%と稀な走行パターンである.術前から肝動脈の走行を把握と,術中に胃十二指腸動脈をクランプテスト後に切離することは安全に手術を行う上で肝要であると思われた.