日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前化学療法が奏効した乳腺基質産生癌の1例
南 盛一吉川 大太郎河野 透
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2021 年 82 巻 3 号 p. 507-511

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抄録

乳腺基質産生癌は全乳癌の約0.1%と比較的稀な組織型である.その多くがトリプルネガティブ乳癌であり,術後2年半以内の再発が多く,5年生存率は通常の乳癌に比べて悪いとされる.本邦では,これまで術前化学療法を行った報告はほとんどなかったが,今回,術前化学療法が奏効し手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は45歳の女性.右乳房腫瘤を自覚し放置していたが,徐々に増大し痛みも伴うようになり,当科を受診した.右乳房CC'区域に13cm大の腫瘤を認め,針生検で基質産生癌と診断された.PET-CTでは右腋窩リンパ節への集積を認めたが,遠隔転移は認めなかった.術前化学療法としてFEC療法を6回,paclitaxelを12回施行したところ腫瘍は縮小し,右乳房部分切除術および腋窩リンパ節郭清を行うことが可能となった.術後補助療法として温存乳房への放射線照射を施行し,経過観察中である.

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