2021 年 82 巻 3 号 p. 525-528
症例は71歳,男性.4年半前に左肺癌にて左上葉切除術を施行.経過観察中,右肺上葉に経時的に増大する陰影が出現,肺癌が疑われた.術前の造影CTにてV1+2+3が上大静脈に流入する部分肺静脈還流異常症(partial anomalous pulmonary venous connection:PAPVC)を認めた.PAPVCは切除予定肺葉に存在し,自覚症状なく,肺体血流比(Qp/Qs)も1.7であり許容範囲と判断,手術による診断治療の方針とした.胸腔鏡下に右上葉切除術を施行.術後,若干の呼吸リハビリテーションを要したが,手術後13日目に退院.術後の心臓超音波検査ではQp/Qsは1.1と低下し,右心系の容量負荷の改善を認めた.今回,左上葉切除後で同一肺葉にPAPVCを伴う右上葉肺癌の切除例を経験した.比較的稀な先天奇形であるが,非切除肺葉に存在する場合,術後に右心不全をきたすことがある.肺切除においてはPAPVCを念頭に置き,術前の画像診断を行う必要があると考えられた.