日本臨床外科学会雑誌
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症例
線溶亢進型優位なDICを認めたKasabach-Merritt症候群合併肝血管腫の1例
久野 貴広中沼 伸一岡崎 充善大畠 慶直牧野 勇田島 秀浩
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2021 年 82 巻 3 号 p. 623-628

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抄録

症例は68歳,女性.肝左葉および腹側前区域に径24cmの肝血管腫を指摘された.血液検査で凝固異常を認め,Kasabach-Merritt症候群(以下KMS)の合併も指摘され,肝切除目的に紹介された.出血時間の延長,トロンビン-アンチトロンビン複合体(以下TAT)およびプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(以下PIC)の上昇を認めたことより線溶亢進型優位な播種性血管内凝固症候群(以下DIC)と判断し,周術期に抗線溶療法としてメシル酸ナファモスタットの持続点滴を行った.過去に報告されたKMS合併肝血管腫例と比較し,良好な出血コントロール下に拡大肝左葉切除術を施行した.術後に出血および血栓性合併症を認めず,経過良好で退院した.KMS合併肝血管腫に対して推奨されるDIC治療は定まっていない.線溶病態よりDICを病型分類して治療選択することは,KMS合併肝血管腫の肝切除において出血リスクを軽減する新たな取り組みとして貢献できる可能性がある.

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