日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
ソラフェニブで病理学的完全奏効を得た門脈腫瘍栓合併肝細胞癌の1例
水谷 哲之橋本 瑞生臼井 弘明小林 智輝西村 元伸坂口 憲史
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 82 巻 3 号 p. 635-641

詳細
抄録

症例は56歳,男性.右季肋部痛を主訴に受診し,ダイナミックCTにて肝右葉に動脈相での早期濃染される直径84mmの腫瘍,および門脈右枝まで進展する門脈腫瘍栓を認めた.AFP・PIVKA-IIも高値であり肝細胞癌と診断,Vp3の門脈腫瘍栓を伴うため,ソラフェニブの投与が開始された.ソラフェニブ投与5カ月後のCTでは,肝右葉の腫瘍は直径50mmに縮小し,動脈相での早期濃染を認めなくなっていた.また,門脈右枝の腫瘍栓も縮小していた.しかし,重度の下痢のためソラフェニブの継続が困難となり切除を検討,病勢コントロールは得られており根治切除可能と判断し,肝右葉切除,門脈腫瘍栓摘出術を予定した.術中所見では門脈右枝内に腫瘍栓は認めず,肝右葉切除のみ施行した.病理結果では,主腫瘍および末梢の門脈内の腫瘍細胞はすべて壊死しており,病理学的完全奏効の状態であった.現在,術後2年3カ月を経過し,無再発生存中である.

著者関連情報
© 2021 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top