2021 年 82 巻 3 号 p. 646-651
症例は74歳,男性.遠位胆管癌に対して亜全胃膵頭十二指腸切除(SSPPD)を施行.術後より嘔吐を認め,胃排出遅延と診断し経鼻胃管を挿入した.その後,CT・上部消化管内視鏡・胃管からのチューブ造影によりBraun吻合の輸出脚側の狭窄に伴う閉塞性イレウスと診断し,保存的治療で改善が得られずSSPPD術後37病日に再手術を行った.手術所見は,胃空腸吻合とBraun吻合の腸間膜間隙の背側から輸出脚(肛門側)腸管が入り込み内ヘルニアを起こしていた.用手的に還納し,腸間膜間隙を縫合閉鎖し手術を終えた.術後合併症なく,術後16病日(SSPPD術後53病日)で退院.術後6カ月で腹部症状を認めない.今回われわれは,SSPPD術後の比較的早期に胃空腸吻合・Braun吻合に伴う内ヘルニアを経験した.SSPPD術後の胃空腸吻合とBraun吻合の腸間膜間隙に関連する内ヘルニアの文献的報告はなく,稀な病態と考え文献的考察を加えて報告する.