2021 年 82 巻 3 号 p. 663-667
膝窩静脈性血管瘤は,肺血栓塞栓症を発症した際に指摘されることが多い稀な疾患である.症例は77歳の男性.胸部に違和感が出現したため当院を受診した.心臓超音波検査で右心負荷所見を認めたため造影CTを行い,肺血栓塞栓症と診断した.塞栓源の検索を行うと,右膝窩静脈に血栓を有した径30mmの嚢状瘤を認めた.回収可能型下大静脈フィルターを留置した後手術を行った.手術は瘤を接線方向に切除し静脈を連続縫合にて閉鎖した.しかし,術後1日目に縫合部から出血したため対側下腿の大伏在静脈を用いてパッチ形成術を行った.術後1年が経過しているが,肺血栓塞栓症・静脈性血管瘤の再発は認めていない.本疾患は嚢状瘤が多く,手術では切除縫縮術が行われることが多い.しかし,病変の完全な切除が困難な場合や静脈の狭小化が避けがたい場合には,自家静脈を用いたパッチ形成術も柔軟に用いるべき再建術式であると考えている.