胃癌の特殊組織型の一つである胎児消化管上皮類似癌は,胎生初期の消化管上皮に類似した組織形態を示す腺癌であり,AFP,Glypican3(GPC3),SALL4のいずれかの発現が陽性であるものと定義される.今回,われわれは当院で経験した2症例を文献的考察とともに報告する.
症例1:84歳,男性.前医でC型肝炎加療中にAFP上昇と食思不振が出現,精査で胃角部小彎後壁に2型病変を認め,胃癌の診断で幽門側胃切除術を施行した.病理では淡明でロゼット状の管状構造が目立つ中~低分化腺癌,AFP+/SALL4+であり,胎児消化管上皮類似癌と診断した.術後7カ月無再発生存を確認している.
症例2:76歳,男性.前医で肝細胞癌術後フォロー中にCEA上昇があり,精査で胃体上部小彎後壁に3型病変を認め,胃癌の診断で胃全摘術を施行した.病理では胎児消化管に類似した淡明な胞体を有する円柱状細胞が管状から乳頭状,深部では充実性に増殖し,SALL4+であり,胎児消化管上皮類似癌と診断した.現在,術後補助化学療法中である.