2021 年 82 巻 5 号 p. 901-907
症例は13歳,男児.当院受診6日前に腹痛が出現し,近医を受診.胃腸炎の診断で対症療法が開始されたが,腹痛は改善しなかった.当院受診時には38度台の発熱と下腹部全体に圧痛が著明で板状硬,腹部造影CTにて膿瘍形成性虫垂炎の診断で緊急入院した.膿瘍腔は直腸と接しており,同日,超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:以下EUSと略す)ガイド下で経直腸的ドレナージを施行し,外瘻チューブを留置した.入院後は抗菌薬投与と膿瘍腔洗浄を行い,膿瘍は速やかに消失した.第9病日に外瘻チューブを内瘻ステントに入れ換え,第29病日にステントは自然脱落した.EUSガイド下経直腸的ドレナージから135日後に待機的腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,術後の経過は良好で術後4日目に退院した.術後3カ月経過し膿瘍の再発は認めていない.
今回われわれは,小児膿瘍形成性虫垂炎に対してEUSガイド下経直腸的ドレナージが有効であった1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.