日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳糜腹水を認めた中腸軸捻を伴った腸回転異常症の1例
東本 昌之南曲 康多衣裴 勝彦小倉 修
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2021 年 82 巻 5 号 p. 896-900

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抄録

症例は16歳,男性.2015年4月上旬,昼食後よりの上腹部痛にて同日他院を受診.腹部超音波検査にて小腸の拡張と少量の腹水を認め,絞扼性腸閉塞疑いの診断で同日当院へ紹介となる.腹部CTでSMV rotation sign とwhirlpool sign を認め,上腸間膜動脈の分枝が180°反時計方向に回転していた.さらに,中等量の腹水を認めた.中腸軸捻を伴った腸回転異常症と診断し,審査腹腔鏡を施行した.術中所見では,白濁した腹水を認め,乳糜腹水と診断した.腸管の捻転を認めたが腸管壊死は認めなかった.開腹すると,腸間膜の癒着のため上腸間膜動脈基部が狭くなっており,癒着を剥離して捻転を解除.腸管の固定はせず,腸管切除することなく,虫垂切除をして手術を終了した.術後麻痺性イレウスを合併するも,術後第19病日に退院となる.

乳糜腹水を呈する場合,腸管の血流障害は軽度で腸管切除を必要としないことが多い.術前に乳糜腹水を確認できれば腸管温存可能な場合が多く,それを踏まえて必要にして十分な治療方針,術式を考慮すべきと考えられた.

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