2021 年 82 巻 6 号 p. 1076-1083
症例は64歳の女性で,左C区に約4cmのトリプルネガティブ乳癌,左右の腋窩リンパ節転移の診断で,術前化学療法として様々な抗癌剤が順次施行されたが,治療抵抗性を示したため当科へ紹介となった.BRCA遺伝子は変異を認めず,PD-L1発現も陰性でありリムパーザ・テセントリクとも使用できなかった.その直後,急性胆嚢炎で入院したが保存的治療で改善せず,胆嚢摘出術を施行した.その際,肝臓は全体的に転移性病変で占められていた.術後disseminated intravascular coagulation(以下DIC)となったが,DIC離脱後もWBC,好中球の上昇が継続していたため,血清内granulocyte colony-stimulating factor(以下G-CSF)値測定と針生検標本でG-CSF染色を施行し,G-CSF染色は陽性であった.血清内G-CSF値は基準値内であったが,over volumeのための希釈と考えられた.多発肝転移による肝不全により術後27日目に永眠した.最終的にG-CSF産生乳癌と診断した.