2021 年 82 巻 7 号 p. 1291-1296
症例は57歳,女性.17歳時に左腋窩部皮膚の1cm大の炎症性粉瘤に対し,切開排膿が行われた.26歳時に感染が再燃し,局所麻酔下に摘出術が施行された.病理検査の結果,粉瘤の診断であった.30歳台より再び腋窩部に腫瘤を自覚していたが様子を見ていた.今回,検診マンモグラフィーにて左腋窩部に巨大な腫瘤病変を指摘され受診となる.エコー・CTでは腋窩部に12cm大の多房性で,一部は胸筋間まで進展する嚢胞性病変を認めた.全身麻酔下に腫瘤切除術が施行され,病理結果は表皮嚢腫の診断であり,30年前に手術をした粉瘤の遺残が再発したものと考えられた.
表皮嚢腫の再発は嚢腫組織の遺残により起こるとされるが,腋窩において本症例のように深部の組織に癒着,胸筋間に進展し,巨大化して再発が明らかとなる症例の報告は認められない.当初は小さな表皮嚢腫であっても再発が繰り返されることにより,手術が困難となることが示された症例である.