2021 年 82 巻 7 号 p. 1413-1417
直腸間膜全切除(TME)を伴う直腸切除術は直腸癌に対する標準治療であるが,近年,周囲剥離断端(CRM)を確保するための選択肢の一つとして経肛門的全直腸間膜切除術(taTME)が下部直腸癌に対する手術として注目されてきている.しかしながら,taTMEにおける特有の合併症も報告されている.特に男性の前壁側では尿道と直腸が近接しており,その剥離の際に発生しうる尿道損傷はtaTMEにおける重大な合併症の一つである.今回,前立腺全摘術後の下部直腸癌に対し,尿管照射用カテーテル(infrared illumination system: IRIS U-Kit)を術中に使用して尿道をリアルタイムに確認しながら尿道を損傷すること無くtaTMEを施行した1例を報告する.