日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断し得ず腹腔鏡下に摘出した大網脂肪肉腫の1例
蒲原 知斗野﨑 礼史松本 正弘福沢 淳也永田 千草
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キーワード: 大網, 脂肪肉腫
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2021 年 82 巻 7 号 p. 1435-1440

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抄録

患者は37歳,女性.2018年11月に健診の腹部超音波検査で骨盤内腫瘍を指摘された.腹部CTで腹腔内の膀胱頭側に120mm大の内部均一・低吸収で境界明瞭,造影効果を伴わない腫瘍を認め,腹部MRIでも腫瘍内部はT1 low,T2 highを示した.悪性を示唆する所見は乏しいものの,腫瘍は比較的大きく,悪性の可能性を完全には否定できなかった.開腹移行も念頭に置き,診断的治療目的に2019年2月に腹腔鏡下の切除を行うこととした.腫瘍は大網内に存在し,播種や癒着を認めず腹腔鏡下に切除可能であった.腫瘍内部は充実性であり,高分化型脂肪肉腫と診断された.術後1年6カ月,再発なく生存している.腹腔鏡下に切除した大網脂肪肉腫は,本邦では過去に報告されていない.術前診断のついていない腹部腫瘍に対する腹腔鏡下の診断的切除は,安全に行えれば許容されると思われるが,脂肪肉腫などの悪性疾患も必ず念頭に置き,腫瘍の破裂や播種を起こさないように十分注意する必要がある.

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