日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に診断し切除した小網神経鞘腫の1例
多代 尚広清地 秀典杉本 尭藤原 幹夫桜井 孝規滝 吉郎河本 泉
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キーワード: 神経鞘腫, 小網, 腹腔鏡
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2021 年 82 巻 7 号 p. 1430-1434

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抄録

非常に稀な小網神経鞘腫を腹腔鏡下に診断し切除した1症例を経験した.症例は59歳,女性.健診目的に施行されたFDG-PET検査にて,胃体部小彎に淡い取り込みを示す40mm大の腫瘤を指摘された.CTでは胃壁との境界は不明瞭であったが,超音波内視鏡検査では胃壁に近接するものの連続性を認めず,胃壁外病変である可能性があった.診断としてGISTを考え,FNAは播種の可能性を考慮し行わなかった.診断的治療目的に手術を行った.腹腔鏡下に剥離を行ったが腫瘤は胃壁に非常に近接しており,胃壁との連続性については不明瞭であった.小開腹し慎重に剥離を進めると,腫瘤と胃壁との間に連続性はなく,腫瘤は小網から発生したと考えられた.病理検査結果では紡錘形細胞の増殖を認め,S-100陽性であり,神経鞘腫と診断された.小網神経鞘腫は稀な腫瘍ではあるが,腹腔内腫瘤の鑑別診断として考慮すべきであると考えられた.

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