日本臨床外科学会雑誌
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症例
KL-6が治療効果を反映した再発乳癌の1例
村形 綾乃長内 孝之谷田部 悠介上平 大輔田波 秀朗佐藤 栄吾
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キーワード: KL-6, trastuzumab deruxtecan
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2021 年 82 巻 8 号 p. 1486-1490

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抄録

HER2陽性転移再発乳癌に対して三次治療として抗HER2抗体トポイソメラーゼI阻害剤複合体trastuzumab deruxtecan(以下T-DXd)を投与中,KL-6が治療効果判定を示した1例を経験したので報告する.

症例は48歳,女性.45歳時に前医で皮膚浸潤とリンパ節転移を伴う左乳癌(cT4N1M0)と診断された(ER:80-90%,PgR1-3%,HER2:2+FISH+).抗癌剤は拒否されたためtrastuzumab(以下HER)を投与したが改善はなく,trastuzumab emtansine(以下T- DM1)を投与後にリンパ節転移が消失し,47歳時に乳房部分切除術を行った.術後HERを投与したが,PETで肺肝転移を認めT- DM1,続いてHER+pertuzumab+docetaxelを投与したが腫瘍マーカーが上昇し,T-DXdの投与目的で当院へ紹介となった.間質性肺炎(以下ILD)のバイオマーカーの一つであるKrebs von den Lungen-6(以下KL-6)が高値であったが,surfactant protein A (以下SP-A),surfactant protein D(以下SP-D)は正常範囲内であり,CT上もILDの所見は認めなかった.KL-6はILDを示す以外に腫瘍マーカーとしての意味を有していると考えた.T-DXdの投与後,肺肝転移巣が縮小,腫瘍マーカー,KL-6も徐々に低下した.

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