2021 年 82 巻 9 号 p. 1663-1667
症例は51歳,男性.右気胸発症時に撮影したCT上,左肺上葉に結節影を認めた.経過観察中に径2.5cmに増大,原発性肺癌の診断で入院,胸腔鏡下左肺上葉切除を施行した.術後経過は良好であったが,退院前日の術後9日目に意識障害を認め,頭部MRIで右中大脳動脈起始部の閉塞を認め,急性脳梗塞と診断し,血管内治療の適応と判断した.当院は脳血管内治療実施施設でないため,専門病院に脳梗塞発症2時間以内に転院となった.同院で血栓回収術を施行し,その後,自力歩行が可能になり自宅退院した.左肺上葉切除後は脳梗塞の発症頻度が他葉と比し高いとされ,脳梗塞のリスクを念頭に置いて周術期管理を行うことはもちろんであるが,脳血管内治療の不可能な施設では,緊急時に対応可能な医療施設との連携が普段から必要である.今回,われわれは左肺上葉切除後に脳梗塞を発症し,専門病院に転院のうえ血管内治療を施行し,自宅退院できた1例を経験したので報告する.