日本臨床外科学会雑誌
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症例
右肺下葉切除後に中葉温存残存右上葉切除を行った異時性肺癌の1例
佐藤 太軌上原 浩文多田 周計良 淑子渡辺 敦
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2021 年 82 巻 9 号 p. 1668-1672

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抄録

症例は63歳,男性.16年前に当院で右下葉肺癌に対して右下葉切除+リンパ節郭清を施行(pT2N0M0扁平上皮癌)されている.術後5年無再発であり,定期経過観察は終了となっていた.健診での胸部X線写真で異常を指摘され,精査目的の胸部CTで右上葉S1b中心部に最大径28mmの一部充実部分を含むすりガラス状結節陰影を認め,気管支鏡下肺生検で肺腺癌の診断となった.cT1bN0M0 cStage I A2の診断で,中葉温存残存右肺上葉切除術を施行した.中葉の下縦隔への索状癒着を認め,中葉捻転防止策は不要であった.経過は順調で残存中葉の拡張に問題はなく,退院となった.病理病期はpT1c(4)N0M0 pStage IA3であり,術前に指摘し得なかった多発病変を認めた.術後の残存中葉の拡張は良好である.右上葉もしくは下葉切除後の中葉を温存した残存肺葉切除は中葉捻転が懸念されるが,術後癒着により捻転防止策は不要であった.

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