2022 年 83 巻 10 号 p. 1765-1770
症例は55歳,男性.虫垂炎の既往があり,保存的治療で軽快した.1年後,肉眼的血尿を主訴に泌尿器科を受診し,当科を紹介受診した.膀胱鏡にて右尿管口外側に瘻孔が確認され,腹部MRIでは回盲部と膀胱が接しており,膀胱壁内に嚢胞性病変を認めた.以上より,虫垂炎または虫垂悪性腫瘍による虫垂膀胱瘻と診断し,泌尿器科と合同で腹腔鏡補助下回盲部切除術(D3郭清)+膀胱部分切除術を施行した.泌尿器科が小開腹で膀胱部分切除を行う予定だったため,腹腔内で口側と肛門側の腸管を切離した後,下腹部正中に小開腹創をおいて癒着部の膀胱壁を切除して小開腹創部から検体を摘出した.病理検査では明らかな悪性所見を認めなかった.虫垂膀胱瘻は膀胱腸瘻の中でも稀な疾患であり,術前に良悪性を診断することは非常に難しい.虫垂膀胱瘻に対し腹腔鏡アプローチで手術を施行したのは本邦で3例目であり,文献的考察を含めて報告する.