日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
膵炎と仮性膵嚢胞内出血に対して膵切除にて救命した膵動静脈奇形の1例
立澤 麻衣子橋本 真治高橋 一広下村 治土井 愛美小田 竜也
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 83 巻 12 号 p. 2092-2097

詳細
抄録

症例は58歳,男性.上腹部痛を主訴に当院を受診し,CTで膵頭体部の膵動静脈奇形(pancreatic arteriovenous malformation:PAVM)とそれに伴う急性膵炎,さらに仮性膵嚢胞を認めた.急性膵炎に対する保存的加療後に急激な腹痛の増悪を認め,精査の結果,仮性嚢胞内出血を認めた.腹腔内出血の危険があると判断し,緊急手術を施行した.膵周囲の炎症性変化が高度のため血管の同定が困難であり,また,多くの門脈系の側副血行路による出血のため凝固障害をきたし,初回手術はガーゼ圧迫止血で終了した.2日後に膵体尾部切除を施行し,出血源である仮性膵嚢胞は切除したが,PAVMの完全切除には至らなかった.術後は膵液瘻を認めたが保存的加療にて改善し,第25病日に退院とした.膵頭部にPAVMは残存するが,膵炎発症や仮性動脈瘤の形成は認めず経過している.PAVMの治療においては根治治療の観点から手術が第一選択と考えるが,出血コントロールが最大の関門であり,より綿密な手術プランが必要である.

著者関連情報
© 2022 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top