2022 年 83 巻 12 号 p. 2092-2097
症例は58歳,男性.上腹部痛を主訴に当院を受診し,CTで膵頭体部の膵動静脈奇形(pancreatic arteriovenous malformation:PAVM)とそれに伴う急性膵炎,さらに仮性膵嚢胞を認めた.急性膵炎に対する保存的加療後に急激な腹痛の増悪を認め,精査の結果,仮性嚢胞内出血を認めた.腹腔内出血の危険があると判断し,緊急手術を施行した.膵周囲の炎症性変化が高度のため血管の同定が困難であり,また,多くの門脈系の側副血行路による出血のため凝固障害をきたし,初回手術はガーゼ圧迫止血で終了した.2日後に膵体尾部切除を施行し,出血源である仮性膵嚢胞は切除したが,PAVMの完全切除には至らなかった.術後は膵液瘻を認めたが保存的加療にて改善し,第25病日に退院とした.膵頭部にPAVMは残存するが,膵炎発症や仮性動脈瘤の形成は認めず経過している.PAVMの治療においては根治治療の観点から手術が第一選択と考えるが,出血コントロールが最大の関門であり,より綿密な手術プランが必要である.