2022 年 83 巻 2 号 p. 268-273
妊娠中の急性虫垂炎は穿孔すると流早産や胎児死亡をきたしやすく,速やかに診断し治療を行うことが重要である.しかし,超音波検査で診断が得られない場合,CTは胎児への被曝の影響が懸念され,診断・治療方針に悩むことが少なくない.当院における妊娠中の急性虫垂炎に対する虫垂切除術11例について検討した.
超音波検査で虫垂炎と診断できたのは2例のみであった.超音波検査で診断が得られなかった9例すべてにCTが施行され,虫垂炎と診断された.全例に来院当日もしくは翌日に虫垂切除術を施行した.1例に虫垂穿孔を認め,その1例を含む2例に術後合併症(皮下膿瘍,回盲部膿瘍)を認めたが軽快した.母児の予後は良好で,急性虫垂炎による流早産や胎児死亡は認めなかった.
超音波検査で診断が得られない場合には,CTの有益性と危険性を理解したうえでCTの施行の有無を含め診断・治療方針を決定し,速やかに治療を行うことが重要である.