2022 年 83 巻 2 号 p. 274-280
症例は19歳の女性で,1歳時にX染色体優性低リン血症性くる病と診断され,活性型ビタミンD3製剤とリン製剤による加療を開始した.5年前より血清Ca,intact-PTH高値を認め,三次性副甲状腺機能亢進症の診断で当科へ紹介された.手術は先ず腫大腺である左上副甲状腺を摘出し,その尾側に左下副甲状腺を疑う所見を認め,摘出した後に術中迅速病理診断で副甲状腺の診断を得た.2腺とも副甲状腺過形成と診断した.術後血清Ca値,intact-PTH値は正常化した.長期間のリン製剤の投与により,その過程で副甲状腺機能亢進をきたすことがある.副甲状腺が自律性を有し,不可逆的にPTHの異常分泌を行う病態を三次性副甲状腺機能亢進症と呼ぶ.その治療法として,副甲状腺摘出術が挙げられる.複数腺の過形成を伴うことが多いが,一側検索による腫大腺の摘出で治癒しえた.患者背景を鑑み,慎重な手術適応,術式の検討が必要である.