日本臨床外科学会雑誌
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症例
Hand-assisted laparoscopic surgeryを行った副腎褐色細胞腫の2例
吉田 有策山梨 裕希柳田 充郎尾身 葉子堀内 喜代美岡本 高宏
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2022 年 83 巻 3 号 p. 566-574

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抄録

症例1は35歳,女性.両側副腎褐色細胞腫に対して腹腔鏡下両側副腎摘出術を施行した.右副腎腫瘍は13.5cmと大きく,三角靱帯の処理が鉗子操作のみでは困難であり,可及的に腫瘍を露出した段階でHALSへ移行し腫瘍を摘出した.左副腎腫瘍は通常の腹腔鏡下手術で摘出した.症例2は82歳,女性.左副腎褐色細胞腫に対して腹腔鏡下左副腎摘出術を行った.鉗子操作で10cm大の腫瘍の背面と頭側の剥離を可及的に行い,HALSへ移行し腫瘍を摘出した.いずれの症例も,腫瘍を体外に摘出する際にはhand portの皮膚切開の延長が必要であった.HALSは触覚を生かした手技が可能となり,愛護的な腫瘍の牽引や脱転による視野展開が可能となった.上腹部の後腹膜腫瘍は解剖学的に視野確保が難しいが,腹腔鏡を使用することで良好な視野を確保できた.大きな褐色細胞腫に対するHALSは,安全かつ低侵襲で根治的な治療を可能にする.

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