2022 年 83 巻 4 号 p. 717-721
症例は33歳,女性.出産18時間後の深夜に急激な心窩部痛が出現し,その後胆汁性嘔吐も認めた.疼痛処置を行ったものの痛みは次第に増強し,発症6時間後の翌早朝にはショック状態となった.さらに,緊急CT施行直後に心肺停止状態となったが,救命処置にて心拍の再開が得られた.CTでは怒張した上腸間膜静脈を軸とするwhirl signと腸管の著明な拡張が認められた.直ちに緊急開腹術を行い,術中所見にて腸回転異常症に伴う中腸軸捻と診断した.捻転した腸管は血流障害によって壊死していたため小腸起始部約20cmから右結腸までを切除し,健常であった口側小腸と左結腸を一期的に吻合再建した.術中・術後の集中治療により状態は改善し,腸管大量切除に伴う短腸症候群に対しては中心静脈栄養を導入して術後54日目に自宅退院が得られた.産褥早期に発症する中腸軸捻は極めて稀で診断に苦慮するものの致命的でもあるので,若干の文献的考察を加えて報告する.