2022 年 83 巻 4 号 p. 711-716
原発性小腸癌は,消化管原発の悪性腫瘍の0.3~4.9%と稀な疾患である.今回,胃切除から9年後に腸閉塞で発症した上部空腸癌の1例を経験したので報告する.症例は58歳の女性.上腹部痛と嘔吐を主訴に近医を受診し,腸閉塞の診断で当院紹介となった.CTで空腸壁の肥厚,胃十二指腸を含む口側腸管の拡張を認めた.上部消化管内視鏡検査では,Treitz靱帯肛門側の空腸に全周性の腫瘍を認め,生検で高分化腺癌の診断となった.原発性小腸癌の診断で上腸間膜動脈本幹までのリンパ節郭清を含む空腸切除術を施行した.病理学的診断は,pT4a(SE),Ly1a(SM),V1b(SS EVG),BD1,pN1a,Pn1b,pStage III A(UICC分類)であった.一般的に小腸癌の予後は不良であり,早期の診断と治療介入が予後改善には重要と考えられる.また,胃切除症例には小腸の発癌性上昇の可能性があるため,胃切除後の小腸閉塞症例に対しては,小腸癌も念頭に置いた,上部消化管造影検査および内視鏡検査が必要である.