2022 年 83 巻 5 号 p. 849-853
完全内臓逆位は1万人に1-2人の頻度で見られる稀な先天性疾患であり,完全内臓逆位に併存した肺癌の手術報告は少ない.今回われわれは,完全内臓逆位に併存した左上葉肺癌に対して10年以上前に左上葉切除術が施行された患者において,右上葉肺癌が発生し,これに対して右上葉切除術を施行することとなった1例を経験した.
過去の報告例では,完全内臓逆位症例において両側の肺葉切除術が施行された報告例は認められず,同一症例で両側胸腔内および肺門構造を観察できた貴重な症例であると思われる.これまでの完全内臓逆位が併存する肺癌に対する手術加療の報告例にて挙げられている気管挿管時の注意点や,手術操作における問題点を再度確認しつつ,本症例において得られた知見を共有することで,今後同様な症例を経験する医師の一助となることを期待して,若干の文献的考察とともに報告する.