2022 年 83 巻 5 号 p. 871-874
症例は59歳,女性.健診で胃の異常を指摘され,前医を受診した.上部内視鏡検査で,胃体下部大彎に30mm大のIIc病変を認め,生検でgroup V (por+sig)のため手術目的に当科を紹介され,入院となった.手術は腹腔鏡下幽門側胃切除,D1郭清を行った.小網切離時に,肝胃間膜内に肝外側区域に流入する太い静脈を認めた.この静脈は胃小彎の血流を集め,肝胃間膜内を走行し,肝付着部に流入しており,いわゆる左門脈と考えられた.術後肝機能に異常は認められず,経過は良好で第13病日に退院した.左門脈は,まれな静脈の破格である.手術中に遭遇する肝に流入する太い静脈は,術中切離時に躊躇することが考えられる.腹腔鏡下胃切除を行う機会が増えてきており,円滑な手術遂行のために左門脈の知識は重要であると考えられた.