2022 年 83 巻 5 号 p. 908-912
症例は81歳の女性で,5年前に他院で経肛門的直腸脱手術を施行されるも,直腸脱は持続していた.今回,排便時に腸管脱出と出血があり,徐々に腹痛,嘔吐も出現してきたことから,当院救急外来を受診した.肛門から小腸が脱出し,その2カ所で断裂を呈していたため,緊急手術を施行した.脱出した小腸を切除し,口側と肛門側断端を脱出した直腸の内腔へ還納した.直腸脱は嵌頓しており,還納困難であった.肛門は狭く,他院での手術はThiersch法と思われた.会陰部に切開を加え,縫縮された肛門輪を切開することで直腸脱を還納した.続いて開腹したところ,腹腔内に便による汚染はなく,直腸前壁に径3cm大の穿孔があり,同部位に小腸が嵌入していた.吻合は機能的端端吻合とした.直腸は穿孔部を含めて切除し,単孔式人工肛門を造設した.術後,RBC2単位を輸血した.また,骨盤膿瘍に対してCTガイド下ドレナージを施行し,第40病日に退院した.