2022 年 83 巻 6 号 p. 1009-1012
血管脂肪腫は四肢や体幹の皮下組織に好発し,稀に乳房内にも発生する.他の腫瘤と鑑別を要することもある.今回,乳房内に発生した血管脂肪腫について報告する.症例は50歳,女性.前医の乳房エコーで左乳房内に腫瘤を指摘され,精査目的に当科紹介受診となった.左乳房C区域2時方向に圧痛を伴う1cm大の腫瘤を触知し,その他全身に腫瘤を認めなかった.マンモグラフィで左乳房MO領域に境界明瞭な高濃度腫瘤を認め,乳房エコーで左乳房C区域2時方向の皮下脂肪内に17×12×9mm大の境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.針生検を施行し血管脂肪腫の診断であったため,腫瘤摘出術を施行した.病理結果は非浸潤型血管脂肪腫であった.血管脂肪腫の術前診断は各種画像検査を用いても困難とされている.乳房内に高エコー腫瘤を認めた場合は,血管脂肪腫を鑑別に挙げるべきであり,診断と治療を兼ねて外科的切除を行う必要があると考えられる.また,術後も慎重な経過観察が必要である.